箱木千年家は神戸市北区の山間部にあり

ダム建設に伴い60m移動し

創建当初の姿に復元されている

千年家と呼ばれるように起源は大変古い

放射性炭素年代測定法による調査により

1283~1307年(鎌倉時代)に伐採された

木材が含まれているとのことがわかっている

上下の外観写真をみると

軒先、つまり茅葺屋根の下端が大変低く見えます

現実に人は体をかがめないと出入できない高さです

下写真は室内から外部を見たところ

出入口は標準的な人の高さだが

その先に見える軒先はそれよりかなり低いことがわかります

次の写真は内部

屋根の下に柱と梁で身舎(もや)を構成し

屋根を支える垂木は

外壁土壁の上端と身舎の梁の上に掛け

棟まであがっていく

垂木は丸太と竹材が混合している

結合には縄をつかう

これを見てはるか弥生時代の竪穴住居を思い起こします

竪穴住居では外壁の代わりに低い土手を築きます

土手は雨水の侵入を防ぎ屋根を支える構造体となります

内部空間を高くするために

床を地中に掘り下げていく

 

箱木千年家の外壁の土壁は厚く低く

竪穴住居の土手のような量感があり

内部構造を合わせて

これは竪穴住居の進化の先にあるものだ

という確信が生まれます

内部空間を大きくするために壁を高くしたいのだが

高くするこは風や地震には不利となります

そんな自然の驚異に対して

少しずつの冒険していく過程とみることができます