日本中世の密教寺院で今に残る

滋賀湖東の西明寺と福井小浜の明通寺は

境内がほぼ完全な形で残り

ともに鎌倉時代の本堂と三重塔が残る

という意味で双璧である

西明寺は山の中のながーい参道を

名神高速道路の上をまたいでさらに進むと

下のような光景が現れる

この二天門(重文、室町初期)をくぐると

国宝の本堂(鎌倉前期)と三重塔(鎌倉中期)が並んで現れる

(下写真)

 中央の三重塔を挟み

左の建築が本堂 右の屋根が二天門である

三つの建築が建つ境内の光景は

まずは山中でその風光がすばらしく

それぞれが建つ間合いや

平面的な大きさそして高低などの

スケール感バランス感がすぐれている

建築だけでなく境内も立派な文化遺産

というか空間遺産である

(下写真)

この三重塔はやはり正面から

そして少し引いて見るのが

最も美しいと思う

胴の太さが大変安定感があり

屋根と胴と相輪のプロポーション

三つの屋根がつくるリズム

木組みの美しさ

それらがあいまって美の結晶となっている

一方明通寺は門を入ると

そこからも参道が続く

そしていくらか歩くと階段があり

本堂の一部が見える

その階段を上がっていく途中から

本堂の先にやっと三重塔が見え始める

国宝本堂は1258年 国宝三重塔はの1270年の建立

本堂前のスペースは狭く窮屈に感じる

時代とともに木々が迫まり狭くなったのであろうか

下の光景は

本堂の向こうの少し高台に三重塔を配置している

両建築で奏でる複合の美を

最大限引き出すための位置関係が考えられている

当時の工匠はそこに大きなエネルギーを投入したのだ

三重塔の話に戻すと

西明寺の塔に比べ

胴が細身で繊細な感じが強調されている

カメラの視点をもう少しあげ

西明寺と同じ高さの視点で見れば

また違った感性を発見するかもしれない