奈良日本建築アトリエひとりごと
南山城 海住山寺の五重塔 不思議なデザイン
京都市と奈良市の中間にある京都府側の地域は
南山城とよばれ浄瑠璃寺、岩船寺、蟹満寺、酬恩庵、海住山寺
またその奈良県側には円成寺があり
多くの名刹が山中にひっそりと佇んでいる
海住山寺には一風変わったデザインの国宝の五重塔がある
鎌倉初期の1214年に建立され
高さは18mに満たない小さな塔である
室生寺五重塔の高さは地盤面から16m余り(基壇の高さは含まない)で
それよりわずかに高い
初重に裳腰屋根をつけそれを支える柱が吹き放ちであるが
裳腰屋根が初重の屋根より大きく突出しているところが
不思議なデザインと私は思う
初重に裳腰をつけた五重塔としては法隆寺の塔(下写真)が知られるが
法隆寺では裳腰の屋根を初重の屋根より後退させ
日本人の感覚として納得できるデザインとされている
海住山寺の塔の裳腰を取り去ってこの塔のデザインをイメージして見ると
初重の階高が二重以上に比べて高いが
屋根の逓減率は時代を反映して大きく
美しいプロポーションと感じる
下の生寺五重塔と変わらないプロポ―ションである
(下写真)裳腰屋根の下の吹き放ち部分には
広く床が張られ何か宗教的な儀式を行ったかもしれない
そのための吹き放ち空間でしょうか
」
下は五重塔と本堂をみる