京都庭アトリエひとりごと
二階から見る無鄰菴庭園
今年の二月、重森千青先生の庭園講座のフィールドワークで初めて無鄰菴の母屋の二階に上がり庭園を眺めました。
地上では庭に身を置くというか、我が身は庭の土を踏み、木々に囲まれその息吹を全身で感じ、小川のみなもの反射光のきらめきを感じ、堰を切る音を聞く。足の裏から頭のてっぺんまで体の五感をすべてが解放して全神経で感じています。そして主景の正面の東山連峰の景色はV型にカットされた部分に比較的小さく見えます。
ところが二階から見ると主観性が減衰し、少し距離をおくことで庭全体を見渡すことができ、客観的に見えてきます。そして正面の東山の景色がより大きく見え、庭の景観の一部としてより有効な借景になります。遠方の東山が庭の一部になったことで庭が一回り大きくなった感もあります。
庭は季節により大きく変化し、天候や、時刻によっても違った表情を見せる。また回遊性を持つがゆえに様々な視点が用意され見え方が変化する。いつ見ても楽しいものです。
上二枚の写真は今年の2月に二階から撮影
下二枚は2014年の8日地上で月撮影 (才本)