展示会アトリエひとりごと
セザンヌの「曲がり道」 モダニズムにつながる作品
今回のトーコールド美術館展
セザンヌの作品展示は10点に及ぶ
そのうち9点が完成作品でそしてもう1点が未完の作がある
それが1905年に描き始められ
1906年に死去するまでに完成はされなかった
「曲がり道」です(下図)
大きさは73cm(縦)×92cm(横)と大きくてそれなりの迫力があります
これを一目見た時に感じたのは
いくつかの四角い、いろいろの色の面が
近景、遠景にちりばめられている
それは家屋の壁や屋根だったり
また草木も
全体としてそれらの面の集合体の体をなしている
しかし完成してないがゆえにセザンヌの思いが
ギュッと詰まっているようにも思えます
1905年という時代はアールヌーボーの時代が終焉を迎え
近代化が加速する時代です
そういう時代感覚をセザンヌは
描きとめておきたかったのではないでしょうか
図録の解説には
このあたりが20世紀初頭のキュビズムやフォービズムの
画家たちを後押ししたと記している
私はむしろ、1917年に建築・デザイン分野の潮流としてオランダで起こる
「デ・シュティル」のデザインに共通性を強く感じます
これは色平面を絡み合わせ構成して豊饒な世界をつくっていく
そこに新しい時代感覚―モダニズムを感じたであろう
デ・シュティルは建築家のドゥースブルグから始まり画家モンドリアンや
リートフェルトに至るデザインの世界です
下図 ドゥースブルグ 建築プレゼンテーション
「theo van doesburg painter and architect」より