今愛知県美術館で「トライアローグ」

という展覧会が開かれている

横浜美術館、愛知県美術館、富山県美術館の

3美術館のコレクションにより

20世紀の西洋美術を展望する展覧会

 

その中に

これまであまり見る機会のない

ロシア構成主義の作品があります

ウラジーミル・タトリンの「コーナー・反レリーフ」

(1915年、写真上2枚、横浜美術館蔵)

アレクサンドル・ロトチェンコの「非具象彫刻」

(1918年、写真下2枚、横浜美術館蔵)

ともに同時期におきたロシア革命に共振する造形で

「ロシア構成主義」と呼ばれる

タトリンの作品はその傾向が顕著で

素材は鉄、アルミ、亜鉛など複数を使用し

あえて傾きを付けた線材や面材を組み合わせた造形

強い圧力で変形したような造形です

建築史の世界で有名な

彼の第3インターナショナル記念塔(1919年計画)は

計画案で終わるが

高さが400mを超す渦巻き状の傾いた鉄塔で

新体制国家樹立の高揚感を造形化したもの

 

同じころの1917年にはオランダで

「デ・シュティル」が結成されている

これは画家ピエト・モンドリアンや

建築家リートフェルトが有名で

直行した線や面を美しく彩色しながら

しかも素材感を消して構成していく

見た目に美しい構成的な美学です

ロシア構成主義はそれとは趣を異にしている

下はロトチェンコの作品

薄いアルミ板のみでつくられた

無機感漂う面構成の作品です

デ・シュテルに近い造形といえます