愛知県日本建築アトリエひとりごと
金蓮寺弥陀堂が国宝のわけ
金蓮寺弥陀堂は
3間×3間の阿弥陀堂の前に
吹き放ちの庇(柱に囲まれた空間)を付加している
平安後期の浄土思想により
阿弥陀堂が多くつくられるようになったが
初期の阿弥陀堂は
この庇空間がないのが一般的で
有名な平泉の中尊寺金色堂もしかりである
それから時間も経過し
阿弥陀堂も発展的に変化していく過程で
庇が付くようになったと考えられる
この建築はその過程を示す貴重な建築である
意匠的には前面は3間とも蔀戸
柱頭には舟肘木を載せ
平安時代の都の住宅風の趣をもつ
下は前面の庇を見る
吹き放ちの柱と蔀戸に囲まれた庇空間
外部と内部の結界空間
中間領域として豊かさを感じる空間である
庇空間は3間×3間の母屋空間の外に付加されたもので
屋根構造も付加された構造の「縋破風(すがるはふ)」でまとめている
そのことがその時代の意匠の精神と感性を感じさせてくれる
内部も変化があり
それ以前は堂内空間の中央に置いた仏像空間を
意識的に後ろにずらしている
そのことで仏像前の空間が広くなり
人間が礼拝する空間を大きくしてる