三重日本建築ランドスケープ環境・景観アトリエひとりごと
津市専修寺 山門前の特別な空間 山内寺院と町を隔てる結界
下写真は山門から南を見ている
道の両脇には塔頭が門を構え
石畳がその先まで続く
山門の外にもかかわらず
空間に厳かさと緊張感
そして格調の高さが感じられる
そしてその先には
木格子の築地塀があり
あたかも門のように入口を狭めている
下写真は逆から見たところ
山門の外でありながら
現在も格調高い雰囲気を保持している
この格子築地塀は釘貫門とよばれ
津市指定有形文化財に指定されている
宝暦年間(1751~63年)の木版画には
3か所に釘貫門が描かれているが
今はこの山門前だけが残っている
その釘貫門の外側を見ると
堀があり石橋がかけられている
この石橋も津市有形文化財である
この寺は浄土真宗(一向宗)で
天正年間(戦国時代)には寺内町を構成していたという
東西500m、南北450mの大きさがあり
その寺内町を囲う堀は今でも残っている
しかし写真の堀は寺内町の周囲のものではなく
当寺院と寺内町内の町家部分の間にあるもの
この堀と木格子で組まれた釘貫門は
町家空間と寺院空間を
分ける結界の役割を果たしているようだ
この結界と山門の間に厳かな雰囲気の空間を挿入し
入場者の気持ちを整えるべく考えた意匠か
この釘貫門は石の基壇にのっているが
人が出入りする端部の木柱は
下半分までが石でつくられている
腐食防止とか傷がつきにくい
という機能もありそうだが
大変強い表現でに感じられ
よそ者を寄せ付けない意図もあるか