愛知県日本建築ランドスケープアトリエひとりごと
定光寺本堂 室町後期の禅宗様仏殿の秀作
定光寺は庄内川の上流の瀬戸市の
中央本線の定光寺駅のほど近くにある
庄内川もここまでくると山の中の風情で
自然の風光緑音につつまれる
また秋の紅葉が美しい旧中央線の愛岐トンネル群も近い
定光寺は臨済宗に属し1340年の創立という
荒廃ののち尾張徳川初代藩主義直が再興したという
この本堂は重文で建築年代は諸資料が残っているが
宮殿墨書に1500年とあり
また寺の年代記に1493年仏殿建立とある
現在は山の木々が旺盛に繁殖し
本堂近くまで迫っている
波欄間、花頭窓、詰め組物、裳腰付き二重屋根
そして扇垂木と華麗な軒反り・・・など
正統な禅宗様式を示している
内部は3間×3間の身舎の回りに裳腰が4周に回り
平面的には5間×5間の堂である
内部空間構成は中心の1間×1間に厨子を置き
その部分を最も高い鏡天井とし
その周辺は化粧屋根裏天井で中央に向かって上昇する
その外側はさらに一段下の裳腰の化粧屋根裏天井となり
外に向けて下がっていく
その結果堂の中心に向かって天井が高くなる
という禅宗様仏殿の典型的な空間構成となっている
切れ目なく四周にある波欄間が直線的で小気味よく
室内にほんのりと均等に明るさをもたらしている
正面付近では出入り口の桟唐戸に吹き寄せ格子をいれ
堂の前側が明るくなるような配慮がされている
駐車場からアクセスするとこの参道を通ることはないが
門の前は山深い風情をもっている