奈良日本建築ランドスケープ環境・景観アトリエひとりごと
長弓寺本堂は生駒の丘を背にしてひっそりと佇む
長弓寺は奈良県の北西部の生駒の丘の地にあり
西は大阪府、北は京都府の県境近くに位置する
車をナビに任せて走っていくと
寺に近づくと道が細くなり不安が募る
それでも対向車に出くわすこともなく
無事長弓寺に到着する
本堂は棟木に銘があり
1279(弘安2)年に棟上げしたことがわかる
6km先のある霊山寺が1283年
兵庫県の太山寺本堂が1285年
福井県小浜の明通寺本堂が1258年で
ほぼ同時代の密教本堂建築である
正面は桁行五間の堂であるが
堂々として大変大きく見える
和様でありながら
桟唐戸や蟇股内の装飾、頭貫先端の木鼻など
大仏様や禅宗様などのデザインの影響がみられる
内部は撮影できなかったが
外陣を広くゆったりとした空間にする工夫がみられる
外陣は桁行5間 梁間3間で
天井は、桁行3間 梁間2間の母屋の周囲の、
前面と側面に庇をまわすタイプ
そして外陣を広く見せるため
母屋と前面庇との間の中央の2本を抜いた
しかし後世比較的早い時期にその2本を補充したとのこと
3間のスパンを梁で飛ばすことが
いかに無理な構造であることかが理解できる
境内には池が2か所あり
下の写真の池では蓮を育て
噴水を飛ばしており
この地ならではの独特の風景である
池の向こうの建築は塔頭の長弓寺円生院