奈良日本建築ランドスケープ環境・景観アトリエひとりごと
室生寺 金堂は あたかも頭を垂れて訪問者を迎える
室生寺に訪問すると
もともとある自然の山の中に
美しい堂宇が
場所と土地の高低を変えて次々と現れる
その意外性のある変化
そして建築と環境の競演の美しさは
訪問者に深い感動を与える
世界にも誇るランドスケープデザインだと思う
ここに現代の日本人にも共通する
感性のDNAがあると思う
下写真は室生寺への結界である
室生川にかかる太鼓橋
太鼓橋を越えると正面に正門が迎える
正門を入ると参道は右に折れ室生川に沿ってすすむ
すると納経所や仁王門が迎えてくれる
(下写真)仁王門をくぐるとすぐに
ゆるやかな階段が現れる
下写真は仁王門(左)と階段(右)を振り返ってみたところ
この階段は鎧坂と呼ばれる
その階段の上には国宝金堂の屋根が見られる
(下写真)下から階段を見上げる
「鎧坂」と呼ばれる
この石段が
丹念に編み込まれた鎧の姿に
似ているということであろうか
石段は長い時代の使用を経て角が取れ
そのまろやかな姿が鎧を思わせる
しばらく上がっていくと
金堂の屋根が低く見える
金堂がわれわれ来訪者に向かって
お辞儀をして迎えてくれるようにも感じられる
実は金堂は
下図で示すように
平安時代に内陣と四周の庇部分がつくられ
後世に参拝空間を広くするために
前面に孫庇を付加した
その結果 断面図に示すように
孫庇の軒先は下がり
正面から見ると
お辞儀をしているような姿になった
孫庇の屋根は
もともとあった(母屋+庇)の屋根に
縋りつくような形となり
この屋根の両端部の破風の形を縋破風と呼ぶ
金堂正面
金堂と弥勒堂(重文)を見る