一宮市妙興寺は1348(貞和4)年草創で

臨済宗妙心寺派の寺院

足利二代将義詮により

鎌倉五山制度の諸山と同格に列せられ以来

三代義満から十代義稙まで代々手厚く保護された

伽藍配置は仏殿や三門が南北に一直線配置で

京都や鎌倉の五山禅院にも匹敵することは

先のブログで紹介した

もう一つ注目すべきことは

私的な住持の住まいとして

方丈や玄関、庫裏をもち

方丈の前には白砂の庭もある

現在このような方丈をもつ禅宗寺院は

京都でも決して多くない

 

外から見た方丈の唐門

背後に見える大きな屋根は方丈(現在は客殿と呼ばれている)

 

 「尼連禅河」(にれんぜんが)とよばれ枯山水の庭

一面に白川砂を敷き

対面の塀付近に植栽や石を配置する

 

下は唐門を内側から見た写真

左のハゼノキは紅葉し始めたところ

今年の11月23日撮影

重々しい瓦葺の唐破風屋根を

日本伝統の組物で持ち上げ

強固でありながら軽々と浮かせ

さらに向こうの景色(緑)を透かせて見せる

その下にある門扉には

菱格子窓をつけここからも

向こうの景色を垣間見ることができる

屋根を支えるとかまた扉を閉じるといった

重要な機能を満たしながらも

何とか向こうを透かせて見せ

閉塞感を減じようという

強い意識が感じられる

 

美しい菱格子の例として

岐阜県の禅宗寺院永保寺の国宝開山堂がある

下は内部から外を見たところで

窓の精妙にデザインされた菱格子と

その間から見える緑の相性は

素晴らしくよい

 

去る11月23日、そして24日

ここ妙興寺で「特別拝観と秀吉の学問所 桃山の美と心」

と題して「2024 日本の伝統文化をつなぐ」会が催された

妙興寺所有のたくさんの宝物が展示され

多くの講演もおこなわれた

下写真は

そのお宝の一部で

唐門と一緒に写っていた紅葉したハゼノキが

生花として添えられ

方丈の床の間に飾られた

 

その他のお宝も方丈に展示された

展示方法は「2024 日本の伝統文化をつなぐ」

というタイトルにふさわしく

一点一点 味のある特製の手作りケースに納め

それを散らし配置している

見学客も滞留することがなく見やすく

かつ日本の美意識を感じさせる展示方法とおもう